冷房中の換気を正しく行うためには、「換気をすべきタイミング」を知ることが重要です。このタイミングを教えてくれるのが二酸化炭素濃度の測定器(センサー)です。
「何時間に一度換気する」と決めていても、実際には換気が足りていなかったり、または換気が不要なタイミングに無駄に換気してしまっていたりする場合があります。二酸化炭素濃度を知ることができれば、無駄な換気を行わなくてもよく、濃度計を見ながら必要なタイミングに最小限の換気を行えます(これは冷房機器使用中だけでなく、他の季節でも有効です)。
ここで「なぜ二酸化炭素濃度なのか。他の物質も測定したほうが良いのではないか」とお考えになる方もいるかと思います。
もっとも大きな理由は、「人がいれば必ず発生する物質は二酸化炭素のみである」ことにあります。
俗に言う「この部屋は空気が悪い」とは、実際には屋外と比べて二酸化炭素濃度が高い状態を指し、これが二酸化炭素濃度により換気タイミングを判断する理由です。
VOCや窒素酸化物等も換気により排出したい有害物質なので、これらの物質を測定しても構わないのですが、以下の理由で一般的ではありません。
1つめは、数多くの物質を測定する場合、測定対象物質ごとに測定器も多数必要になることです。家庭やオフィスは研究機関ではありませんので、そこまでの対策は過剰です。
2つめは、信頼できる測定器があっても高額である場合が多いことです。例えば、シックハウス症候群でお悩みの家庭が、VOC測定器を検討する場合があります。しかし、VOC測定器には「安価だが信頼性が低く、測定値が信頼できない測定器」か、「正確だが非常に高額(低価格なものでも数十万円台前半)な測定器」しかないのが現状です。そこまで高額な測定器を家庭に導入する必要はないと考えます。
3つめは、測定できない物質が多数あるためです。例えば、室内に新型コロナウイルスがどれだけ飛散しているかを測定できる測定器はありません。
このため各法律においても、換気を行う基準として二酸化炭素濃度が用いられています。別な言い方をすると、「二酸化炭素濃度を1000ppm以下に保つ水準の換気ができていれば、十分な換気が行われている」と推測できるということです。
なお、二酸化炭素濃度測定器を検討する際に、どのような基準で選別すればよいかについては別記事を参考にしてください。
参考: 換気を行う基準・目安を知る