シックハウス症候群を引き起こす物質を減らすためには、家の中のどの箇所でVOC物質が多く発生しているかを知る必要があります。このためには、VOC物質の測定器を用いて、家の中を測定するのが望ましいのですが、問題があります。
問題とは、「安価なVOC測定器は正確ではなく、正確なVOC測定器は非常に高額である」ということです。
通販サイトで売られているVOC測定器は数千円台から入手できますが、測定するVOCに合致した測定方式ではないものがほとんどです(環境省が指定する方式以外を使用)。また、安価な機器の多くは「暖機運転(ウォームアップ)」を行わないため、測定空間に最適化されないまま、測定を開始してしまいます。
結果、表示される数値と本当の数値では大きなギャップがあるにも関わらず、安価な測定器に表示された不正確な値を信じてしまう、という事態が起こってしまいます。
しかし、「環境庁が示す試験方式、性能基準に準拠している」信頼性が高い測定器となると、多くが100万円以上する測定器となります。一般家庭で導入するには高額すぎます。
このため、重度のシックハウス症候群を発症している方で、「どうしても測定器で数値を調べて室内環境を改善したい」という願望がない場合は、無理に測定器を利用する必要はない、と当サイトでは考えます。
もし、購入を検討される場合には、以下を満たすものがよいでしょう。
- 環境省が推奨する測定方式(NDIR型、もしくはFID型)を採用している
- 暖機運転(ウォームアップ)機能がある
- 技術力・品質管理力がある会社が販売している
この中で最もわかりにくいのが「技術力・品質管理力」です。
特に注意しなければならないのは、海外の製造元から専門知識を持たない商社が輸入販売しているケースです。測定のメカニズムや測定方式に沿った正しい測定法、その他技術的な質問を行ってもまず回答できません。また、問題発生時のサポートも期待できません。
環境庁の性能基準は満たさないが、自主管理用としても用いるには十分な性能がある測定器は、安いものでも数十万円台前半はします。納得いくまで調べて、質問を行ってから購入すべきです。