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シックハウス対策の換気 - 換気の時間 | 換気の総合情報サイト

シックハウス対策の換気

この記事の目次

シックハウス症候群対策の基礎知識

こちらの記事をお読みの方は、シックハウス症候群について知識のある方が多いと推察します。本記事では、はじめにシックハウス症候群に関する基礎知識をできるだけコンパクトに解説し、その後、シックハウス症候群と換気についての詳しい説明を行います。

シックハウス症候群とは?

建材や家具に使用される、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの13種類の揮発性有機化合物(略称: VOC)が原因で発生する、目のかゆみや刺激感、喘息、皮膚炎、頭痛、めまいといった症状を発生する症候群です。医学的に明確な定義があるわけではありません。

VOCがあるとシックハウス症候群を発症するのか?

シックハウス症候群は「化学物質過敏症」とも呼ばれます。すなわち、特に化学物質に対して敏感に反応する体質がある人が発症する症状です。同じVOCがある室内でも、「症状がある」人もいれば、「全く症状がない」人がいることもあります。

VOCは何に含まれているのか?

建築に用いられる建材、ならび家具です。建材については「告示対象建材」に指定されている建材は、その種別(等級)が定められ、ホルムアルデヒドの使用量に応じて、使用する面積制限を受ける、また使用できない場合がります。

シックハウス症候群を防げるか?

シックハウス症候群は一般的に、建材に含まれているホルムアルデヒドなどの物質が発散されることで症状が起こります。よって、「ホルムアルデヒドの使用量が少ない建材を選択できる住宅メーカーに発注する」「中古の住宅を購入する」ことで回避できます。

しかし、多くの方は自分がシックハウス症候群を発症すると予期せず住宅を購入します。VOC発散量が多い新築住宅を購入し、シックハウス症候群を発症した場合、「新築住宅を建築しても一定期間は住まない」といった対策が可能です。

しかし、「家を建てたのに住まない」のは本末転倒ですので、「シックハウス症候群を防ぐ」というよりは、「住みながら少しでも緩和する」方法を取るのが現実的です。

シックハウス症候群対策としての全体換気・局所換気

シックハウス症候群対策として、最も有効な方法の一つが換気です。ホルムアルデヒドなどのVOCを含む空気を屋外に排出し、空間中のVOC濃度を低減できるためです。

換気には大きく分けて「全体換気」と「局所換気」があります。この2つを併用して、できるだけ多くの換気(給排気)を行うことで、屋内のVOC濃度を下げ続けるのが、換気によるシックハウス症候群対策の基本です。

全体換気とシックハウス症候群

室内全体の空気を換気することを全体換気と言い、そのうち機械的に行われる全体換気を24時間換気といいます。住宅では「給気と排気の両方」または「排気のみ」が機械的に行われるのが一般的で、2時間で空気が完全に入れ替わるよう設計されています。

シックハウス症候群対策として、まずはこの「24時間換気」は常時オンにする必要があります。オンにしておくと、特に意識しなくても空気が入れ替わります。

局所換気とシックハウス症候群

局所換気とは、コンロ上の換気扇や、トイレ天井のファンなど、ニオイやガスの発生源となる特定の場所の換気(排気)を行うことを指します。

局所換気を行う器具は、特定の場所を強力排気することを目的に取り付けられています。逆に言うと、コンロ上の換気扇をつけても、コンロ周辺以外の部屋全体に空気の流れができて、室内のVOC物質を強力に排出するわけではありません。強力に作用するのは、あくまで設置場所周辺です。

しかし、強くVOCが発散されている箇所に天井ファンがある場合は、常時、または定期的にオンにすることが推奨されます。全体換気と局所換気が合わさって、VOC排出が促進されるためです。

シックハウス症候群対策の具体的な換気方法

では、シックハウス症候群対策としての具体的な換気方法についてお伝えします。

(1) 24時間換気のみ

シックハウス症候群の症状が軽い場合は、24時間換気のみで十分な場合があります。自動で屋内の「給排気」または「排気」が行われるため、屋内のホルムアルデヒドなどの物質が屋外に排出されます。

窓開けを行う必要がなければ、手間もかからず、温度変化や花粉や異物の流入といったことも起こりません。ただ、24時間換気の性能は「2時間で空気が入れ替わる(1回転する)」であり、より早く換気したい場合は別な方法を併用すべきです。

(2) 24時間換気と局所換気の併用

24時間換気を稼働させながら、換気扇や天井ファンを併用する場合です。換気扇や天井ファンは局所的ではありますが、強力な排気力があるため、シックハウス原因物質を屋外に放出するのに役立ちます。

デメリットとしては、ファンによっては音がうるさいこと、電気料金がかかることがあげられます。また、VOCを含む建材などから離れた場所でファンを回しても、VOCの排出に役立たない場合もあります。「ファンをたくさん回したが、あまり効果がなく電気料金ばかりかかった」という事態を防ぐために、「どこにあるファンを回すと効果があるか」を一つずつ調べるのがよいでしょう。

(3) 24時間換気と窓開けの併用

定期的に窓を開けることで、屋内のシックハウス原因物質を窓からも排出する方法です。風量にもよりますが、24時間換気と比べて窓開けは圧倒的にパワフルな換気方法です。外気が短時間で流入することで、シックハウス原因物質を含む屋内の空気の排出が進むためです。

なお、窓開けを行う場合は、一箇所だけでなく、二箇所以上の窓を開けることで、空気の通り道ができ、換気が促進されます。

デメリットとしては、窓開けにより屋内の温度変化が大きいこと(冷暖房効率の低下)、花粉や粉塵などが屋内に流入すること、防犯上ずっと開けっ放しにはできない点です。また、雨や雪の日も窓を開けると、雨・雪が屋内に入ってきてしまうため使えません。

(4) 24時間換気と空気清浄機を併用

局所換気や窓開け換気を十分に行えない不十分な換気環境であれば、空気清浄機の導入が有効です。空気清浄機には様々な方式がありますが、その効果は大きく異なります。

空気清浄機の性能は「換気量」で定量的に表されます。多くの空気を取り込んで、シックハウス物質を吸着し、きれいになった空気だけを外に出すのが空気清浄機の構造です。一度に処理できる空気の量(換気量)が多ければ多いほど、シックハウス物質の低減に役立ちます。一般的には、大きな空気清浄機のほうが換気量も多いので、部屋のサイズ的におけるものの中で、一番大型のものを利用することが望ましいといえます。

次に、空気をきれいにする方式の違いです。方式が異なる空気清浄機を試験した際、次のような違いがありました。

  • フィルター濾過式: VOC低減に効果あり
  • 静電集塵式: VOC低減効果はほぼゼロ


出典: 日本建築学会環境系論文集 家庭用空気清浄機のVOC除去性能の実態解明

静電気・マイナスイオンで集塵するタイプの空気清浄機は、VOCにはほぼ効果がないので要注意です。フィルターを用いるタイプの空気清浄機はシックハウス物質の低減に効果があり、特にフィルターに利用されている活性炭の量が大きいほうが高い効果を示すことが判明しています。

この研究結果からは、「シックハウス症候群対策として、空気清浄機の導入を検討する場合は、活性炭フィルターを用いた大型(換気量が多い)の空気清浄機の利用が望ましい」ことがわかります。

(5) 24時間換気を行えない家・部屋

古い住宅などで、24時間換気が備え付けられていない場合があります。こうした家に新しい家具を持ち込んだ結果、家具にVOCが含まれており、シックハウス症候群を発症する例があります。

24時間換気を行えない場合は、「2つ以上の窓を開けて、窓開け換気を頻繁に行う」「屋内のドアを開け空気の流れを作る」「換気扇や排気ファンを使う」のが効果的です。

窓開けやファンを用いると、換気量は多いのですが、防犯上窓開けは24時間行えませんし、雨や雪の日も窓開けできないという弱点もあります。こうした場合は、屋内の風通しをできるだけ良くして、VOCを発散させるようにし、家中の換気扇・ファンをオンにして排気するのがよいでしょう。

VOC物質の測定方法

シックハウス症候群を引き起こす物質を減らすためには、家の中のどの箇所でVOC物質が多く発生しているかを知る必要があります。このためには、VOC物質の測定器を用いて、家の中を測定するのが望ましいのですが、問題があります。

問題とは、「安価なVOC測定器は正確ではなく、正確なVOC測定器は非常に高額である」ということです。

通販サイトで売られているVOC測定器は数千円台から入手できますが、測定するVOCに合致した測定方式ではないものがほとんどです(環境省が指定する方式以外を使用)。また、安価な機器の多くは「暖機運転(ウォームアップ)」を行わないため、測定空間に最適化されないまま、測定を開始してしまいます。

結果、表示される数値と本当の数値では大きなギャップがあるにも関わらず、安価な測定器に表示された不正確な値を信じてしまう、という事態が起こってしまいます。

しかし、「環境庁が示す試験方式、性能基準に準拠している」信頼性が高い測定器となると、多くが100万円以上する測定器となります。一般家庭で導入するには高額すぎます。

このため、重度のシックハウス症候群を発症している方で、「どうしても測定器で数値を調べて室内環境を改善したい」という願望がない場合は、無理に測定器を利用する必要はない、と当サイトでは考えます。

もし、購入を検討される場合には、以下を満たすものがよいでしょう。

  • 環境省が推奨する測定方式(NDIR型、もしくはFID型)を採用している
  • 暖機運転(ウォームアップ)機能がある
  • 技術力・品質管理力がある会社が販売している


この中で最もわかりにくいのが「技術力・品質管理力」です。

特に注意しなければならないのは、海外の製造元から専門知識を持たない商社が輸入販売しているケースです。測定のメカニズムや測定方式に沿った正しい測定法、その他技術的な質問を行ってもまず回答できません。また、問題発生時のサポートも期待できません。

環境庁の性能基準は満たさないが、自主管理用としても用いるには十分な性能がある測定器は、安いものでも数十万円台前半はします。納得いくまで調べて、質問を行ってから購入すべきです。