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換気をしよう(飲食店編) - 換気の時間 | 換気の総合情報サイト

換気をしよう(飲食店編)

この記事の目次

飲食店における換気の基本を理解する

「換気といっても、備え付けの換気設備を動かして、あとは窓開けをするくらいだよね」。

飲食店・レストランオーナーさんとお話しすると、上記のような返答が大多数です。もちろん、この回答はおおむね正しいのですが、換気についてよりよく理解することで、お店をより安全で快適な空間に保つことができます。

「飲食店における換気」、店舗の場所や業態により必要な換気は大きく異なります。以下では、「飲食店経営者であれば知っておきたい換気の基本」について、そして「業態ごとの換気」について解説していきます。

換気をしよう (飲食店編)

全体換気と局所換気を正しく行う

焼肉店などの座席調理がある業態は別として、飲食店における換気は2つの前提に基づいています。1つめは「厨房で作った食べ物を、お客さんが客席で食べる」ことで、2つめは「(業態にもよるが)調理の過程でガスを使用し、食べ物のニオイが発生する」ことです。このため、厨房のニオイを客席に運ばないよう、空気の流れを意識する必要があります。

飲食店では、店内全体を強制的に給気・排気を行う機械換気(第一種機械換気)が基本となり、熱交換器が設置されている場合が多いです(ちなみに第二種機械換気ならび第三種機械換気が用いられることはまずありません)。客席のニオイは、この機械換気の排気設備から屋外に出されます。

加えて、「厨房には強力な換気扇(排気ファン)」が設置されています。厨房で発生したガスや食べ物のニオイ、調理臭は、できるだけ厨房から客席には出さず、厨房から屋外に排気するのが、換気扇の役割です。

つまり、店全体の換気と、厨房内の局所的な換気の両方が行われていることが重要となります。設置している換気設備のスイッチやリモコンを確認し、単に「エアコンがついている」だけでなく、換気が行われているかを確認しましょう。

飲食店の店舗レイアウトごとの換気

飲食店といっても、階数、広さ、窓の有無、風通しのよさ、設備など異なるため、一概に「飲食店」とひとくくりにすることは望ましくありません。まずは前提として、厚生労働省作成の資料に基づきご紹介します。

 

 

飲食店の換気経路の基本は「客席側から給気して、厨房やトイレ・喫煙室から排気」です。

この換気経路により客席側は常に屋外から新鮮な空気が供給され、厨房やトイレ・喫煙室は機械排気されるのでニオイが客席側に漏れることが少なくなります。

1.窓がない飲食店の場合

地下にあるバーや、高層ビルの飲食店などを想像するとわかりやすいかと思います。窓が1つもない、またはあったとしても「営業時間外であっても開けられない」、密室のようなケースです。

これら無窓の飲食店では、すべての換気(給気・排気)を機械で行う必要があり、どのような状況であっても窓開けできないことを意味します。このため、窓開け可能な飲食店と比べると、より強力な換気システムが導入されていることが望ましいです。

また地下の店舗であれば「梅雨の時期」には強い湿気やカビ臭に悩まされ、またニオイが強い食材を扱うレストランであれば「ニオイがなかなか抜けない」という悩みをお持ちかと存じます。

これらの店舗で重要な点は、「換気設備のメンテナンスを特に欠かさないようにする」こと、ならび「空気清浄機や除湿機、サーキュレーターなども併用する」ことです。換気設備は定期点検を怠ると思わぬ不具合が発生したり、設置時に想定していた排気量が確保できなくなったりする場合があります。また、換気設備だけでは湿気やニオイが取れない場合は、空気清浄機や除湿機などを追加で導入するのも効果的です。

2.窓があり開閉可能な飲食店の場合

次に、開け閉めできる窓がある飲食店の場合です。開け閉めできる窓がある場合でも、窓を開けているせいで外気が入り込み、温度調整が難しくなります。よって、営業時間中は、お客様が出入りするドア以外は閉め切っていることがほとんどです。換気システムが正しく稼働していれば問題ない場合が大部分ですが、ニオイの強い飲食店の場合は「昨日のニオイがまだ残っている」場合が多々あります。例えば、焼肉店、焼き鳥店など、煙が充満しやすい業態です。

営業終了後、夜の間中ずっと窓あけを行うのは不用心なので、「夜は換気設備を稼働」「朝になったら換気設備+窓開け」でニオイを緩和させるのが効果的です。また、オゾン発生機などの脱臭機を稼働させるのも有用です。

焼肉店や焼き鳥店は、どうしても店舗内に煙が漂ってしまいがちです。このため、店内の空気環境が快適な状態かどうかを知るため、「空気環境測定器」を設置するのも方法です。例えば、測定器で「問題ない」と表示されている間は、換気設備を「標準」で稼働させ、測定器が注意表示を出したら換気設備を「強」で稼働させるといった運用も行えます。

なお、厚生労働省は「換気の悪い密閉空間」のガイドラインを作成し、特に夏と冬の温度変化を理解した上での窓開けについて告知を行っています。

出典:
厚生労働省 熱中症予防に留意した「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法
厚生労働省 冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法

飲食店の局所的な換気法

次に、店舗内の場所ごとの局所的な換気についてご紹介します。

(1)厨房

通常、厨房の換気は換気扇(排気ファン)で十分行われるように設計されています。調理中に窓あけを行うと、塵などを含む外気が入ってきて、料理に混入する可能性があるため、通常窓開けは望ましくありません。このため、換気は換気扇の性能に依存します。

換気扇・排気設備は、入居時に設計したとおりに設置し、正しくメンテナンスを行えば、まず問題となることはありません。また、特に換気が必要な場合、営業開始前や休憩時間、営業終了後に窓開けを行い、換気量を増やすことも効果的です。

厨房換気に問題がある例としては、「居抜き物件を賃貸したが、厨房の換気能力が十分でない」場合があります。以前入っていた飲食店と大幅に業態が違う飲食を始める場合は特に要注意です。換気設備の改装が難しい場合などは、排気量を増やすという抜本的な対策が行えないため、客席にニオイが出てしまう可能性が高くなります。

(2)トイレ

トイレは通常、天井に取り付けられた排気ファンにより、ニオイを屋外に出しています。これも、設備メンテナンスが正しく行われ、こまめに掃除されていれば、多くの場合問題ありません。

注意点としては、便器の尿がはねて、それが蓄積して尿石になるといった「時間をかけて堆積したニオイ」の場合、換気を行ってもその場しのぎでしかないという点です。いったんこびりついてしまったニオイの元がある場合は、業務用洗剤でこそぎ落とす必要があります。

(3)喫煙エリア

2020年4月以後、「改正健康増進法」の施行により、「新規に開業する飲食店は禁煙もしくは完全分煙」「すでに開業している飲食店は小資本・小面積店舗以外は禁煙・完全分煙」が義務付けられています。

店内に喫煙エリアを設ける場合は、「0.2m/秒以上の風速で給気されている」「屋外への排気設備がある」といった換気要件が定められています。

小資本・小面積店舗の「禁煙・分煙対象外措置」は、あくまで経過措置であるため、法律施行の5年後である2025年には「対象外措置がなくなる」可能性があります。よって、すべての飲食店が店舗内全面禁煙化、もしくは完全分煙の喫煙室設置を検討すべきです。