窒素酸化物は、一酸化炭素と同様に「物質の不完全燃焼」により発生する物質です。「窒素酸化物」という特定の物質があるわけではなく、一酸化窒素、二酸化窒素、三酸化窒素、亜酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素などがあります。
なお、不完全燃焼から発生する窒素酸化物の大部分は「一酸化窒素」ですが、一酸化窒素は酸素に触れるとすぐに二酸化窒素に変化するため、本項では主に「二酸化窒素」についてご紹介します。
二酸化窒素ならびに窒素化合物が大きな注目を集めたのは、1999年から東京都が開始した「ディーゼル車NO作戦」です。ディーセル車が排出する窒素酸化物が大気汚染の原因になるとして、国の規制よりも強い規制を設け、規制をクリアしないと「東京都内の走行を禁止」するとしたものです。この政策は、国全体の政策にも大きく影響を与え、2005年ならび2015年にさらなる強化が行われています。
このように、燃焼式暖房器具だけでなく、ディーゼルエンジンの「燃焼」でも二酸化窒素は発生し、大気汚染の主な原因とされています。吸い込むと、呼吸器への影響があり、気管支炎や肺水腫などを発生させることで有名です。しかし、一酸化炭素のように「少量でも即座に死に至る」ほどの危険性はありません。環境省の環境基準では、1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmの範囲内、もしくはそれ以下とされています。