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換気をしよう(オフィス編) - 換気の時間 | 換気の総合情報サイト

換気をしよう(オフィス編)

この記事の目次

オフィスにおける換気の基本を理解する

この記事は、組織の経営者・総務担当者・人事担当者・衛生担当者など、従業員が就労する環境の安全管理を担当される方向けの内容です。具体的には、有害物質やアレルゲン、細菌・ウイルスなどの情報、換気を行う方法、換気する/しないの判断をどう行うかについて記載しています。

必要な知識を短時間でご理解いただけるよう構成しておりますので、ご一読いただき、必要なアクションの洗い出しにお役立ていただければ幸いです。

「機械換気」「全体換気」がオフィス換気の基本

はじめに、オフィス換気の基本は「機械換気」と「全体換気」です。2003年の建築基準法改正により、以後に建築されたビルは機械換気(店舗全体の換気)装置の設置が義務付けられました。具体的には、「外気の取り入れ(給気)」と「屋内空気の排出(排気)」の両方を自動で行う機械です。

なお、多くのオフィスビルでは、2003年より前に建てられた物件でも機械換気の設備が設置されています。よって、「非常に古いオフィスビルで、機械換気設備がない場合」や、「2003年より前に、家屋として建てられた物件をオフィスとして利用している場合」でもなければ、機械換気装置が稼働し、正しい換気が行われます。

よって、オフィスの換気について考える場合、「新たな換気装置を導入する」「窓開けを行うではなく、「すでに用いられている換気装置が正しく稼働しているかどうか」を確認しましょう。換気装置が正しく動作し、オフィス全体の換気が行われていれば、それ以上の対策は基本的に不要です。

とはいえ、「オフィスに来ると花粉症がひどくなる」「人が多く何となく空気が淀んでいる感じがある」といったお悩みをお持ちの方も多いかと思います。以下では、オフィスの快適な空気環境を阻害する要因には、どのようなものがあるかについてお伝えします。

オフィスの空気環境は「過密」「密閉空間」「外気の直接流入」「空気の流れ阻害」で低下する

オフィスの空気環境は、機械換気が正しく作動していれば良好に保たれるよう設計されています。しかし、「過密」「密閉空間」「外気の直接流入」「空気の流れ阻害」といった要因で、良好な空気環境が維持されない場合があります。以下で見ていきましょう。

1.過密

組織が急成長して、想定より多くの人員が狭いスペースで働いている場合を想定してください。席と席との間隔が狭く、高い人口密度で働いているようなケースです。こうした場合、「人が多いため室温が上がる」だけでなく、「二酸化炭素濃度が上昇する」という問題が起こります。

人の呼吸は、「吸う息」と「吐く息」で成分が若干違います。具体的には、「吐く息」は「吸う息」に比べて「酸素含有量が4.50%少なく、二酸化炭素含有量は3.81%多い」のです。そこまで過密でない環境であれば、換気設備により二酸化炭素濃度も良好な状態に保たれますが、過密な状態だと換気設備の換気が間に合わず、二酸化炭素が徐々に上がってしまいます。

出典: 東京工科大学工学部応用化学科

2.密閉空間

オフィスの場所や部屋によっては、換気装置による全体換気がうまく行き届かない場所があります。例えば、ドアが付いている会議室や、機密保持のために閉め切られたプロジェクトルームなどです。

こうした場所は、全く換気が行われないわけではありませんが、ドアが閉め切られた状態だと「部屋の天井のファンのみ」の局所的な換気に依存することになります。全体換気に比べると、局所換気の換気力は弱いため、人数が少ない場合でも、二酸化炭素濃度が上がりがちです。

3.外気の直接流入

窓を開けて外気を取り込むことで、二酸化炭素濃度は低下しますが、同時に外から異物が入り込むこともあります。例えば、「粉塵」「花粉」「窒素酸化物 (NOx)」などです。

窓に網戸が取り付けてあると、虫や植物の葉などが入ってくることを防げますが、網戸の目を通り抜けてやってくる微細な物質を防ぐことは出来ません。窓を開けた結果、オフィス内の従業員の花粉症が悪化するのでは、快適な環境づくりは行なえません。

4.空気の流れ阻害

24時間換気が正しく作動している場合でも、正しく換気出来ない場合があります。それは、空気の流れが阻害されているケースです。例えば、空気の通り道に衝立が建てられていたり、ロッカーが取り付けてある、また、保管用の物品が置かれているなどです。

オフィスにおける24時間換気を設計する際には、想定されていないオフィスレイアウトになっていたり、阻害するものが多い場合、「24時間換気は作動しているが、場所によって換気のムラが生じる」という状況が起こります。ある場所はよく換気されるが、ある場所は空気がなかなか入れ替わらない。結果、二酸化炭素濃度が上昇してしまいます。

オフィス内の場所ごとの換気を正しく行う

次に、オフィス内の場所ごとで、正しく換気を行う方法をお伝えします。

オフィススペース(執務スペース)

オフィス内で最も広い場所です。デスクや椅子があり、壁際には書類ロッカーがあるようなイメージです。

こうしたオフィススペースの天井には、給気・排気を行うための換気装置、ならび給排気は行わないが冷暖房を行う空調設備が複数取り付けられているのが一般的です。換気設備が正しく稼働していれば、オフィス内に自然と空気の流れができ、十分な量の給排気が行われます。正しく換気が行われていれば、換気設備のみで十分で、他の設備導入ならび窓開けなどを行う必要はありません。

注意すべきなのは、「過密ではないか」「空気の流れが阻害されるレイアウトではないか」「誰かが勝手に窓開けして、屋内に花粉や粉塵が入っていないか」といった点です。もし、問題が確認された場合は、「オフィスの人員配置を見直し、過密状態を解消する」「空気が通るようロッカーやデスクの配置を見直す」「窓開けのルールを決め、不用意に窓を開けさせない」といった対策が必要です。

会議室・プロジェクトルーム

会議室やプロジェクトルームの利用状況は、会社により大きく異なります。朝から会議室がずっと埋まっている会社もあれば、ほとんど使われていない(空いている)場合もあります。また、プロジェクトルームなども、数ヶ月単位で専有されている場合もあれば、基本空いていて会議室のように使われている場合もあるかと思います。

換気の観点で問題なのは「ずっと使われている」場合です。例えば、会議室で「15時から16時」の会議がある場合を考えてみましょう。会議室が基本フルで使われている場合、朝の9時から15時まで、入れ代わり立ち代わり、ずっと誰かが会議室を使っていたわけです。会議室は当然、閉め切って使いますので、天井に排気設備がない場合、換気できるタイミングがほとんどありません。

換気できるタイミングがないと、二酸化炭素濃度はずっと上昇を続けることになるため、1000ppmを超過する状況が簡単に発生します。
この場合、15時から16時の会議であっても、「冒頭3分間は、換気のため会議室のドア開け必須」といったルールを制定することで、二酸化炭素濃度が上がり続ける事態を防げます。

給湯室

オフィス内で唯一、ガスコンロ(またはIHコンロ)がある場所です。単にお湯をわかす「お茶くみ」であれば、IHコンロの場合はガスを発生させないので換気が不要です。逆にガスコンロでお湯をわかす場合はコンロ上の換気扇を回す必要があります。

また、IHコンロでもガスと同様に熱が出ます。給湯室が暑くなったと感じた場合に、熱対策として換気扇を回すのは効果的です。

トイレ

オフィスのトイレの天井には排気ファンが取り付けられているため、基本追加の換気は不要です。また、トイレにニオイがこもる場合は、「清掃が十分でない」、「湿度が高すぎる(高湿度によりカビが発生している)」ことが理由です。

オフィスに管理会社がいる場合は、状況を伝えて対策を求めるのが良いでしょう。逆に、自社管理のオフィスの場合は、ニオイ対策として「しっかり清掃する」のはもちろん、湿気対策として「除湿機の設置」「除湿剤の設置」「定期的な窓開け」が効果的です。

食堂

食堂は大きく分けて、「厨房がある食堂」と「厨房がない食堂」があります。全社の場合は、飲食店向けの対策がそのまま有効になりますので、換気をしよう(飲食店編)をご覧ください。

厨房がない食堂の場合、多くは「各自がお弁当を持参」「食堂にポットが備え付けられている」といった空間を食堂と呼んでいます。こうした食堂は、ランチタイムは食堂として、そしてランチタイム以外は休憩スペースや簡易な会議スペースとして利用されることが大半です。

厨房がない食堂の場合に発生する問題は「人が多く集まり密になることで二酸化炭素濃度が上昇すること」「食べ物のニオイが残ること」です。24時間換気の強弱を設定できる場合は、ランチタイムから14時くらいまでの間は「強」に設定する、また窓開け可能な場合はランチタイム終了後の一定時間は窓開け換気する、といったルールを決めるのが良いでしょう。

工場

工場で何を製造しているかにもよりますが、製造プロセスに問題が生じることがないよう、勝手な窓開けは行えないのが一般的です。窓を開けることで外気が入ってきて、粉塵などが製品に付着するといった問題が生じる場合があるためです。

よって、通常の工場であれば備え付けの換気設備を用いて行われる換気で十分です。もし、換気が不十分であったとしても、現場判断で勝手に窓開けなど行わず、設備管理担当者などの指示をあおぎましょう。

なお、特に微細な製造プロセスが求められる製品(半導体など)であれば、通常オフィスで利用される「第一種換気」ではなく、病院の手術室で利用されるような「第二種換気」を用いています。機械的な吸気は行うが、機械的な排気を行わない換気方法で、屋内と屋外の気圧差を利用し、外部から異物が入ってくることを防いでいます。

更衣室・個人用ロッカー

盗難・盗撮対策のため、更衣室や個人用ロッカーがあるスペースは、大きな窓がないのが一般的です。更衣室や個人ロッカースペースは、そこまで広くないこと、また滞在時間が短いこともあり、多くの場合は24時間換気で行われている以上の対策は不要です。

倉庫

倉庫といっても、利用形態は様々です。例えば、「多くの人が中で働いている倉庫」もあれば、「人がいることはほとんどない倉庫」もあります。人がいなければ、そもそも機械換気のみで十分ですので、以下では「多くの人が中で働いている倉庫」について解説します。

多くの人が中で働いている倉庫は、「どれくらいの広さ」「どれくらいの高さ」「どれくらいの人が勤務するか」「どれくらいの物が、どの程度置かれるか」を計算した上で、換気設備が取り付けられています。よって、換気設備のみの換気で十分である場合がほとんどです。逆に、不用意に窓開けを行うと、発送する商品の箱に、外から入ってきた異物が混入するなどの事故が起こり、問題となります。

このため、基本的には備え付けの換気設備のみで換気を行うべきです。しかし、もし「二酸化炭素濃度が1000ppmを超えることが常態化している」といった場合は、換気設備が正しくメンテナンスされていない、または換気設備の換気量が低いといった問題があります。このような場合は、メンテナンス業者に点検を依頼したり、追加で換気設備を導入したりといった対策が必要となります。